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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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  雨が降っていた。

 鬱蒼と生い茂る森の中を、灯はひとり歩いていた。

 いつからここを歩いているのか、灯には思い出せなかった。

 二日前、叔父の家のある海岸沿いの街に、休暇を過ごす為にひとり訪ねて来た事は覚えている。

 しかし、一体いつから、この森の中を彷徨っているのか、頭の中にまるで霞がかかったかのように灯には思い出せなかった。

 雨は降り続いている。

 

 自分が歩き続けている事を意識してからどれ位の時が経っただろう、木々の向こうに黒い瓦屋根が見え隠れしているのに気付いた。

「こんな所に屋敷が?」

 ポツリと呟くと、その声は静まり返った森の中に不必要に響くようで、灯は思わず息をひそめた。

 木々の間をしばらく行くと、漆喰で塗り固めた高い塀に突き当たった。

 きっと先程見えた屋敷の塀なのだろう。

 見回す限り、門のような物は見当たらず、考えあぐねた結果、灯は左へ向かって歩いてみる事にした。

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