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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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 灯の家は母親と弟の三人暮らしで、父はとうに家を出ていた。

 その理由を、灯は母に尋ねた事がある。

 母は悲しそうに笑うと答えなかった。

 母に言わせると灯の弟は父によく似ているらしい。

「一緒に暮らした事はほとんど無いのに、どうしてここまで似るものかしらね」

 灯は母がよくそう洩らしていたのを覚えている。

 灯は弟の事が嫌いだった。

 幼い頃はよく一緒に遊んだりもしたが、歳を経る毎に弟の横暴さ、我儘が鼻に付き、しばし同じ家で暮らす事に限界を感じつつあった。

 弟は兄である灯に対し、兄らしい庇護を要求する。

 何かにつけて兄を頼るようなそぶりを見せる。

 しかし灯の言い分に耳を傾ける事は無く、父のいない家庭での兄の立場として、何か意見でもしようものなら癇癪を起こし、周りに当り散らす事もしばしばだった。

 母は極度の依存体質で、父が出て行った後、灯の存在に頼りっぱなしのところがあった。

 灯はそんな家族に息苦しさを感じ、この休暇にひとり叔父の家を訪ねる事を決めたのだった。

 灯には、ひとりで考え、整理する時間が必要だった。

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