忍者ブログ
晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
カウンター
最新記事
プロフィール
HN:
晴乃皐
性別:
女性
職業:
自由業
趣味:
読書
WEB拍手
いつも拍手ありがとうございます!!
お話がお気に召しましたらポチッといただけると幸いです
お礼ページに「鶍の嘴」設定1を掲載中です
WEB拍手
メールフォーム
ご意見ご感想などご自由にどうぞ♪
アクセス解析
ブログ内検索
[8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]
500HITありがとうございます!!
このサイトは晴乃皐の文章作品を掲載しているサイトです。
作品を頭からお読みになりたい場合は、
右のカテゴリーより目次を選んでお進み下さい。

当サイト内の作品はボーイズラブ表現を含みます。
苦手な方、ご理解の無い方の閲覧はお断りいたします。

※ご注意
当サイト内全ての文章の著作権は晴乃皐にございます。
サイトTOPへのリンクは歓迎いたしますが、
当サイト内全ての文章の無断転載、二次配布など固くお断りいたします。
引用される場合は必ず出自明記をお願いいたします。

それでは、ごゆっくりお楽しみ下さいませ

blog start 20060817



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



お気に召したらクリックお願いします

人気ブログランキング にほんブログ村 小説ブログへ

 灯は父の事をあまりよく覚えていない。

 物心付いた頃にはもう既に父はほとんど家に寄り付かなくなっていた。

 覚えている父の姿は、部屋の中でひとり不機嫌そうに座り込んだ背中と、灯と弟を連れて出かけると帰りには必ず弟が泣きじゃくり、弱り果てて無口になる顔だけだった。

 


 灯は海辺の街にひとりきりで住む叔父に、父親の面影を求めていたのかもしれない。

 何かにすがる事など許されなかった灯にとって、この叔父は何かにつけ相談事を持ちかける事のできる唯一の存在だった。

 母の弟である叔父は、三十代半ば近くなった今も独身で通している。

 親戚筋からの縁談にも首を縦に振らず、実家からも離れたこの街で家を借り、暮らしていた。

 一人身のせいか、年若く見える人で、そんなところも灯にとって気安くなる要素のひとつとなっていた。

 何故叔父が未だ一人身で、この街に暮らすのか、その理由を問うた事は無かったが、灯にとって、叔父がこの街でひとりでいてくれる事が、息苦しい家族と暮らす毎日の逃げ道となっていたのは確かなので、それを荒立てるような事はしたくないというのが灯の本心だった。

 だから叔父に理由を問うような事はしないのだ。

PR


お気に召したらクリックお願いします

人気ブログランキング にほんブログ村 小説ブログへ

忍者ブログ[PR]