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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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 休暇に入る少し前、灯は周りの煩わしさから逃げる様に無気力になった事があった。

 やらなければならない事はたくさんあるのだが、手足は重く鉛の様に感じられ、口を開く事すらも億劫になっていた。

 過ぎ行く事柄の何一つ灯の心を動かす事は無く、ただ呆然とそれらを見送る事しか出来なかった。いや、したくなかったのだ。

 母はそんな灯を見て、しっかりしてくれと叱咤した。

 弟はまるで灯を嘲笑うかの如く自分の真当さを誇示した。

 しかし灯にはそんな周囲の態度すらどうでもよくなっていたのだ。

 そして時折無気力の底から沸き上がる様な絶望感が灯を襲った。

 眠りに付く前に、「このまま目覚めなければいいのに」と何度となく思った。

 そんな折にかかってきた叔父からの電話。

 何の事はないその電話で、灯は一気に救われた気分になった。事実救われたのだ。

 灯は休暇中叔父の家に滞在したい旨を告げ、叔父も快く了解した。

 


 そして、叔父の家から程近いこの森を、灯はひとり歩いているのだ。

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