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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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 叔父の家に戻ると、部屋の中は薄暗く、叔父は留守にしているようだった。

 居間のテーブルの上に、走り書きされたメモが置かれている。

 

「出版社に打ち合わせに行ってきます。夕方には戻ります」

 

 灯はメモを手に取り、台所に行くと、冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注いだ。そしてそれを持って、灯の部屋としてあてがわれた奥の座敷へ向かう。

 田舎の常で、家人が留守であっても風を通す為の窓は開け放たれていて、真夏であるにもかかわらず室内はひんやりとした空気を感じるほどである。そういえば玄関も施錠されていなかったと、灯は自宅では考えられない風習に、若干の戸惑いを感じた。

 灯は窓際に置かれた座卓にコップを置くと、部屋の真ん中に仰向けになり、軽く目を閉じた。

 庭から聞こえる葉ずれの音と蝉の声が体に染み入るように心地良く響く。

 灯は先ほどの森と屋敷の事を考えていた。

 叔父が帰ったら今日の事を話してみようと思う。

 叔父ならばあの屋敷の事を何か知っているかもしれない。

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