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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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 どれ位の時間そうしていただろうか。

 灯がフッと意識を現実に戻すと、窓から差し込む光はやや赤みを帯びて弱くなっていた。

 そして灯は思い出す。

 この家を訪ねてから、森の中で意識を取り戻すまでの空白の時間の事を。

 

 叔父の家に着いたのは、今朝早くの事だった。

 灯はこれ以上無い位疲れ果てていた。

 朦朧とした意識の中で自宅を出、電車を乗り継いでこの街にやってきた。

 駅まで迎えに来ていた叔父へも、簡単な挨拶をしただけで家に到着すると、荷物を置くやいなや「散歩に出る」と、ひとり外へ出たのだった。

 次第に日が高くなりつつある時間だった。

 草いきれ、蝉の声、波の音。

 心配し、玄関先まで見送りに出た叔父の声に軽く相槌を打ったことは覚えているのだが、その時叔父が何を言っていたのか、全く記憶に無い。おそらく今日の外出の事を言っていたのだろう。そしてきっと聞こえていないと叔父はメモを残して出かけたのだろう。

 それでも甥の後を追ってついてくるような事をしない叔父に、今、灯はとても感謝していた。

 これが母なら話を聞かない事にかんしゃくを起こすか、どこまでも灯の後をついて歩く事をするだろう。

 灯は叔父の心遣いに感謝すると共に、今朝の自分の取った態度をとても申し訳なく思った。叔父が帰ったら、屋敷の事を聞く前に、まず謝らなければ。

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