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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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 森は昨日と同じように、ただ静かにそこに横たわっていた。

 そして屋敷も、昨日と同じ場所に、確かに存在していた。

 灯は屋敷の庭に通じる小さな門の前にいた。

 そして、昨日とどこか違う屋敷の様子を感じ取っていた。

 

 昨日はあまり気にしなかったが、その屋敷はどこか変わっていた。

 屋敷の正門に当たる漆喰塀の真ん中にある瓦葺の大きな門まで、森の入口から、道のようなものが皆無だったのだ。

 あるのは荒れ果てた獣道のような道無き道で、とても人が住んでいるとは思われない様相だったのだ。

 この街に住んで十年近くなる叔父も知らないとあって、やはり打ち捨てられた空家なのだろうとここへ来る途中、灯は思っていた。

 


 しかし今、露台に続く通用門を前にした灯の目には、窓辺にはためく窓掛けが映っているのだった。

 

 灯はただ黙って海風に煽られる窓掛けを眺めていた。

 昨日はぴったりと閉められていた窓が開かれているのだった。

「なんだ、やっぱり人が住んでいるのか」

 灯は小さく呟くと、踵を返そうとした。

 すると、背後から若い男の声が聞こえた。

「誰かいるの?」

 驚いて振り返った灯の目に、灯とそう変わらない年頃の青年が映った。

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