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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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  森の入口へたどり着いた時、灯は先程と辺りの様子が異なる事に気付いた。

 何が、という事はない。

 徇の家の庭で夕闇に霞始めていた空は、まだ真昼の光をたたえていたのだった。

「どうして…」

 口に出してはみたものの、灯はそれ以上深く考えるのをやめた。自分が足を踏み入れようとしている何かが、言葉や常識の範囲で考えられる事を超越しているのに気付いたからだった。灯はとにかくこの場を離れたい一心で、森を抜け、家路を急いだ。

 玄関をくぐると、家の中は先程灯が出かけた時と変わりなく、明るい静けさを保っていた。

「ずいぶん早かったな」

 ふいに声を掛けられ灯はびくりとした。ちょうど貫が自分の部屋から顔を出したところで、見ると湯のみを手にしている。飲み物を取りに出てきたのだろう。

「どうかしたのか?」

 貫は訝しげな顔を向けてくる。灯はただ黙って首を左右に振る事しかできなかった。

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