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晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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blog start 20060817



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「貫さん」

 食事も半ばに差し掛かったあたりで、灯は叔父に声をかけた。

 叔父と呼ぶにはあまりにも年若い彼を、灯は日常名前で呼んでいた。

「ん?」

 軽く首を傾げるように目線を灯に移した貫は、優しい目で問う。

「森の奥で大きなお屋敷を見たんだ。あそこには誰か住んでいるの?」

「屋敷?」

 貫は訝しがる様子で繰り返した。

「うん、とても大きなお屋敷で、白い塀がぐるっと続いていた。森の奥の、崖に沿った辺りです」

「あの辺りに屋敷があったかな」

 貫は思い当たる節が無いという風に首を傾げた。

 貫が言うには、森の辺りに住人はいない筈だという事だった。

 灯は明日、もう一度あの屋敷を訪ねてみようと思った。

 

 翌日も、かなり暑くなる事が予想できる晴れ渡った朝だった。

 灯は昨日よりも体が軽いように感じ、早く起きて玄関先の掃除と打ち水をしていた。

 庭先の木々や草花は如雨露からほとばしる水を受けて、水晶のかけらを散りばめたように輝いている。

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