忍者ブログ
晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
カウンター
最新記事
プロフィール
HN:
晴乃皐
性別:
女性
職業:
自由業
趣味:
読書
WEB拍手
いつも拍手ありがとうございます!!
お話がお気に召しましたらポチッといただけると幸いです
お礼ページに「鶍の嘴」設定1を掲載中です
WEB拍手
メールフォーム
ご意見ご感想などご自由にどうぞ♪
アクセス解析
ブログ内検索
[22] [20] [19] [18] [17] [16] [15] [14] [13] [12] [11]
500HITありがとうございます!!
このサイトは晴乃皐の文章作品を掲載しているサイトです。
作品を頭からお読みになりたい場合は、
右のカテゴリーより目次を選んでお進み下さい。

当サイト内の作品はボーイズラブ表現を含みます。
苦手な方、ご理解の無い方の閲覧はお断りいたします。

※ご注意
当サイト内全ての文章の著作権は晴乃皐にございます。
サイトTOPへのリンクは歓迎いたしますが、
当サイト内全ての文章の無断転載、二次配布など固くお断りいたします。
引用される場合は必ず出自明記をお願いいたします。

それでは、ごゆっくりお楽しみ下さいませ

blog start 20060817



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



お気に召したらクリックお願いします

人気ブログランキング にほんブログ村 小説ブログへ

「ああ、いつの間にか随分時間が経ってしまったね」

 徇は灯の気持ちを代弁するかのごとく、晩霞に彩られる水平線を眺めながら言った。

「あの、僕はそろそろ」

 灯は少し慌てた素振りで椅子から立ち上がった。

「あの夕焼けと夜空の境目の色は、昔を思い出させる」

 徇はまるで灯の言う事など聞こえていないという風に、水平線を見詰め続ける。

「あの、お茶、ごちそうさまでした」

 灯は身を乗り出すようにして、先ほどよりも少し大きな声ではっきり言った。徇は一度目を閉じ、ゆっくりと開くと、灯の方へ顔を向ける。

「ああ、悪かったね」


 それは少し棘を含んだ声色で、灯はたじろいだ。しかし徇がこちらを向いたのを幸いと、ぺこりと頭を下げ、通用門に向かって歩き出す。

 

「灯」

 

 ふいに、後ろから呼び止められ、そのまま知らぬ顔をして帰ろうとしていた灯だったが、何故か、足は動きを止めた。まるで灯の意思など通じていないかのように。

 

「また、来てくれるね?」

 

 その声に、灯はうつむき、ぎゅっと目を閉じた。もう来てはいけないと、灯の中の本能が絶えず繰り返している。しかしまた、ここを訪れたいとどこかで願っているのも本心だった。

 灯はそっと振り返る。

 

「機会があれば、また」

 

 灯が振り返ったそこには、荒れ果てた庭が広がり、屋敷の窓はぴったりと閉じたままだった。

 灯は全速力でその場を去った。

PR


お気に召したらクリックお願いします

人気ブログランキング にほんブログ村 小説ブログへ

忍者ブログ[PR]