晴乃皐の心赴くままに綴る言葉達
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晴乃皐
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女性
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読書
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blog start 20060817
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blog start 20060817
「ああ、いつの間にか随分時間が経ってしまったね」
徇は灯の気持ちを代弁するかのごとく、晩霞に彩られる水平線を眺めながら言った。
「あの、僕はそろそろ」
灯は少し慌てた素振りで椅子から立ち上がった。
「あの夕焼けと夜空の境目の色は、昔を思い出させる」
徇はまるで灯の言う事など聞こえていないという風に、水平線を見詰め続ける。
「あの、お茶、ごちそうさまでした」
灯は身を乗り出すようにして、先ほどよりも少し大きな声ではっきり言った。徇は一度目を閉じ、ゆっくりと開くと、灯の方へ顔を向ける。
「ああ、悪かったね」
それは少し棘を含んだ声色で、灯はたじろいだ。しかし徇がこちらを向いたのを幸いと、ぺこりと頭を下げ、通用門に向かって歩き出す。
「灯」
ふいに、後ろから呼び止められ、そのまま知らぬ顔をして帰ろうとしていた灯だったが、何故か、足は動きを止めた。まるで灯の意思など通じていないかのように。
「また、来てくれるね?」
その声に、灯はうつむき、ぎゅっと目を閉じた。もう来てはいけないと、灯の中の本能が絶えず繰り返している。しかしまた、ここを訪れたいとどこかで願っているのも本心だった。
灯はそっと振り返る。
「機会があれば、また」
灯が振り返ったそこには、荒れ果てた庭が広がり、屋敷の窓はぴったりと閉じたままだった。
灯は全速力でその場を去った。
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